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火薬が匂い立ち、鉄のカケラと魔の力の痕跡の残るこの地。

わっちは気が付くとそこに立っていた。いつもとは違った風景の中で。
「草薙中佐!なにやってるんですか!戦闘は始まってるんですよ!」
遠くの方で何かが爆発したような音が聞こえる。――本当に始まったのか。忌まわしい戦争が。
「大丈夫じゃ。わっちは。心配は無用でありんす」
そう言ってから右手を真上に上げ、左手を、体に沿って下に下げる。そして二つの腕で円を描き、呪を唱える。
「――我が名と我が血の盟約に置いてここに顕現せよ・・・!」
わっちが顕現させたものは、硬い鱗に身体を包み逞しい四肢と翼を持つ――言ってみればドラゴンだ。
「ちゅ、中佐!大丈夫ですか!なぜそんな術を使うんですか!反動がおおきじゃ―」
「良いのじゃ。向井少尉、好きやれせてくれ」
このような『召喚』は身体に伴うリスクが大きい。まぁわっちは少ないけど。
「ゆけ!怒りに燃えて蹲る者!ニーズヘッグ!」
激しい咆哮の末、その堅翼を羽ばたかせ宙に舞った。そのまま敵陣へと飛んでいく。敵はたじろいでおることだろう。
するとまた遠くで爆発の音が聞こえた。

火の手が上がった方をじっと見つめ、不埒なことをおもってしまう。

―何故わっちは戦っているのでありんす?―

その瞬間、わっちのちょっと前で閃光が走った。
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